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知ってる?換気

1.空気の流れって?

換気は室内の汚れた空気を排出し、屋外へ排出された空気の量だけ、屋外の新鮮な空気を取り込み、室内の空気の清浄度を保つための機能です。

しかし、汚れた空気を排出したといっても、排出された空気が再度外気として入って来たのでは、まったく換気としての機能は果たされません。

簡単に空気の流れを描いた図を下記に載せます

悪い空気の流れの例 住居の空気の流れ



例えば左右に住居を配置してみると、どうでしょうか?

左の住居では問題無く排気された空気が、右の住居では給気として取り込まれています。
この状態では、右の住居では換気をしている意味がありません!

上の図は極端な例ですが、実際によく似た状態で換気が行われているケースもあります。

そこで、換気の計画を立てるには、 給気から排気までの空気の流れ(換気経路)を考える必要があります。


平面的に捉えた空気の流れ

換気経路(空気の流れ) 換気経路(空気の流れ)

左図のような配置では左下から入った外気が右上の換気扇で排気され、室内の空気はほぼ全体に入れ替わります。

右図のような配置では右下から入った外気が右上の換気扇で排出され、室内の左側の空気は滞留した状態となり、全体としての空気移動がおきません。



換気博士 使用目的に応じて換気ルートを構成する事で、外気負荷(屋外の余分な熱)を抑え、効率的な換気ができます。



左の図のようにコンロ台があり、火気使用時の換気が必要な場合は、このように室内の換気を分けます。

右の厨房用コンロ台に単独の換気を設け、左のエリアでは人を対象とした換気を構成する事で、エアコンへの外気負荷(屋外の余分な熱)やコンロ台からの熱負荷も少なくなり、換気の効率が良くなります。

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2.どれくらい換気が必要なの?



  • 「法律で定められた換気量(法定換気量)」以上の換気量が、必要です。

①建築物の用途により換気量が異なる

法定換気量は建築物の用途に応じ、一人当たりの専有面積(一人が専有する計算上の面積)により、算出するものですので、換気量は建物によって違います。

店舗・マーケットでは、一人当たりの専有面積Nは、3㎡/人です。
(仮に、200㎡の店舗だとすると、V=20Af/N=20×200/3≒1,340㎥/h が、換気量になります。)

一方、同じ面積の事務所では一人当たりの専有面積Nは、5㎡/人ですので、
(V=20Af/N=20×200/5≒800㎥/hの、換気量で済みます。)

計算時に、N値(一人当たりの専有面積)を間違えると、イエローカード程度の問題では無くなりますね。
しかし、こういう事は無いとは言い切れません。


②トイレや手洗い所(洗面所)の換気量

一般的なトイレの換気量は、1㎡当たり30㎥/hで算出します。
(換気回数で求める場合では、大便用:10~15回/h、小便用:5回~10回/h程度として求める方法もあります。)

手洗い場や洗面所の換気量は、1㎡当たり10㎥/hで算出します。
(換気回数で求める場合は、5回~10回/hとして求めます。


③屋内作業所内の換気量

一般の居室とは異なり、目的用途に応じ換気量を算出しますが、機械室等の場合は「熱計算」によって算出する方法と、単に換気回数で求める方法がありますが、大きい方の値を換気量とするのが良いでしょう。





  熱計算で求める方法
   Q = 3.6qs / { CP × ρ × (ta-to)}

  換気回数で求める方法
   Q = A ×h×n

室名 換気量 換気方式 許容温度 ℃
圧縮冷凍機室 5回/h 第一・三種
バッテリー室 3~5回/h 第一・三種
自家発電室 50回/h・熱計算 第一種 40℃以下
(非常用)
ボイラー室 10回/h・熱計算 第一種 40℃
直だき冷温水機室
吸収式冷凍機室 5回/h・熱計算 第一・三種 40℃
電気室 20~30回/h・熱計算 第一・三種 40℃以下
冷房併設(3~5回/h) 自然
エレベータ機械室 熱計算   40℃以下
ロープ式:20~30回/h
油圧式:100~150回/h
コージェネ等が常時運転される発電機室 ディーゼル:100回/h 第一種 40℃以下
ガス:120回/h
ガスタービン:160回/h
熱計算
コンプレッサー室 熱計算 第一種 40℃以下


④興行場の換気量

興行場の客席を対象として、各都道府県の条例で定められています。
一例として以下に記載します。

都道府県条例 方式 換気量(外気量) 換気方式
東京都条例 機械換気 75㎥/h・㎡ 第一種~三種
空調時 ※ 25㎥/h・㎡
大阪府条例 機械換気 60㎥/h・㎡ 第一種~三種
空調時 ※ 30㎥/h・㎡

※ 空調送風機量は、熱負荷による  


注意しなければならない点は、 建築基準法の換気量は法律上の「最低換気量」です。
各都道府県・市等が独自で定めている「条例」に従い、換気量の算出方法も変わります。
どちらが優先されるのかと言えば、各都道府県・市等の「条例」が優先されます。

法定換気量で算出した換気量だからと言って、 各都道府県・市等の「条例」で定められた換気量に満たなければイエローカード になります。

ここに記載していない施設の換気量の制約も、目的用途に応じてたくさん有りますが、一つの参考としてください。


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3.エアコンで換気ができるの?


エアコンと換気

エアコンと換気 エアコン は、室内の空気を暖めたり冷やしたりする 温度を対象とする機器です。

「除湿機能」を備えた機器や、「換気機能」を備えた機器も、実際には市場で販売されていますが、あくまでも「家庭用」としての範囲です。

しかし、「換気機能」が備わっているからといって、換気扇を無視する事は絶対に出来ません。

キッチンやトイレでは換気が重要になり、キッチンではガスコンロがあれば、当然「火気使用器具」の制約を受け、適切な給気が必要です。

例えばトイレでは、必要換気量として1㎡当たり30㎥/h程度の換気量が必要になり、その換気量に応じた給気(外気)量が導入されます。

エアコンの換気機能があったとしても不足する場合も多々あり、エアコン本体が換気モードに設定されていなければ、換気が行われない可能性もあります。

「エアコンは温度を対象とした機器で、換気は居室の空気を入れ替える機器」として捉えると良いでしょう。

業務用として考えると

家庭用以外を業務用として考えると、「エアコンは温度を対象とした装置、換気は居室の空気を入れ替える装置」として、完全に独立しています。

エアコンは、室内で発生する熱(人の動作による熱や、照明や器具の発熱)、外壁や屋根、窓等の輻射熱、更には換気時の外気負荷による居室内の温度が上昇(もしくは下降)に反応して居室温度を制御します。

一方換気は、一般的にはスイッチを投入(ON)すれば換気機器が運転を開始し、屋内の汚染空気が排出され、その量に等しい屋外の新鮮な空気をフィルターを介し居室内に吸い込み、常時換気が行われます。

この様に、エアコンと換気は全く異なる働きをしています。

普段何気なくエアコンと換気を運転している訳ですが、ここで少し気がかりになる事があります。

「エアコンは、自動的に温度を一定に保っている」
「換気は連続して稼働している」

この「自動で動くエアコン」と「継続的に動く換気」のミスマッチに関しては、後ほど説明していきます。

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