換気制御システムの解説 | |
換気制御システムを簡単に説明しますと、CO2(炭酸ガス)雑ガスの二つのセンサーにより、送風機や有圧扇等を制御し、環境に応じ適切な換気量を維持する事で、外気負荷抑制を図っています。 更に年間を通して、外気条件(温度:28℃~19℃・相対湿度:65%RH~35%RH)時に、換気量を全稼働させる事で、外気空調として作用させ、エアコンの稼働抑制を果たしています。 時系列上の法定換気量と制御換気量との差をベースに、熱エネルギー算出を行い、エネルギーの「見える化」を図り、常に適切な換気量を維持しながら、エネルギー削減を果たす事を目的としています。 |
a.換気と熱損失の関係 | |
エアコンの能力は一般に「空調負荷」と呼ばれる、熱損失量(室内に与える熱)を、「熱負荷計算」で求め、その合計熱損失により、エアコンの装置能力が決定されます。 室内に影響する負荷の割合は、冷房時と暖房時では、概ね以下の様な比率になりますが、その中でも「外気負荷(換気時に作用する熱負荷)」が、大きな割合を占めています。 この外気負荷は、換気(室内空気を入替える)作用の熱損失ですが、法令に定められた計算式で求めた換気量が必要になり、その換気量を熱損失(外気負荷)に置き換えると、下の円グラフの様な割合になります。 |
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この冷暖房負荷は、もちろん建物によっても違いますが、一例としては上の円グラフで表現出来ます。 換気量に相当する外気負荷は、夏の冷房時では全体の54%を占め、冬の暖房時では62%を占めています。 この様に法令で定められた法定換気量を、連続的に取り入れると当然外気負荷は多くなりますが、仮に換気を全停止すると、外気負荷は隙間風(扉の開閉等)のみなので、確実に外気負荷要素は低下します。 然し外気負荷は減りますが、室内空気汚染は人数に比例するので、呼吸作用によるCO2(炭酸ガス)量は上昇し、更に他の要因(汗や体臭等)で発生する雑ガス濃度も増え、室内の空気汚染は大きくなります。 |
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人為操作に頼らない合理的な方法として、「空気の汚れ度を測り、汚れ度に応じて自動的に換気扇等を稼働させる」装置を介入させる方法です。 ELシステムは、「室内環境を一定条件に維持し、同時に外気負荷(熱損失)制御を果たす事で、エネルギー消費を抑え、CO2排出量の抑制にも貢献出来ます。 換気扇が複数台になると段階制御が不可欠になり、ELシステムの換気制御が威力を発揮します。 |
b.中間期(冬期や夏期も含む)の外気空調効果 | |
外気温度温度条件としては、11月~2月迄の冬期モードと、3・4・5・10月の中間期モード、更に6月~9月までの夏期モードに分類されますが、19℃~28℃の温度範囲を外気温度条件として採用します。 この温度範囲は、ほぼエアコンの温度設定範囲と同じ条件になります。 外気の相対湿度については、65~35%RHの範囲(多湿時の不快感を防ぐ)を、外気湿度条件として採用します。 外気温湿度が、この二つの条件範囲内に一定時間以上留まった時点で、外気空調信号をエアコンに伝送し、エアコンを全停止させると同時に、全換気扇を稼働させて換気作用促し室内空気を入替える事で、外気空調(外気冷房)効果が発揮され、同時にエアコンが停止した時間だけ、ガス消費量が削減されます。 但し寒冷地域では中間期間が短く、外気空調効果が余り発揮されない場合も有り、不向きです。 |
ELシステムを導入頂いている店舗の例(換気扇9組:給気用9台、排気用9台)店舗面積約8,000㎡、小売業、関東南部 | |
ELシステムのQ&A | |
毎日店舗のデータを収集し、月ごとに集計します。1年分をまとめたものが、上の表です。 Q:どんなデータを計測しているの? A:屋外温湿度、屋内下部温湿度、スラブ下面温度、二酸化炭素濃度、雑ガス濃度 など |
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室内のCO2濃度、雑ガス濃度を計測して、設定値以下になるように換気機器の稼働台数を制御しています。 Q:室内のCO2濃度、雑ガス濃度を計測し、空気が汚れると・・・ A:換気扇を汚れの状態に応じて自動的に発停させます。 Q:空気の汚れが少ないと・・・ A:換気台数が複数台の時は、空気の汚れ状況に応じ、稼動台数を制御します。 ※24時間換気が必要なので、最低限の換気扇(1~2台)は常時ローテーション稼働します。 |
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室内と室外の温湿度を計測し、換気扇が全台稼働した法定換気量時の外気負荷(※1)Ⓐ(Kw)と ELシステムによる、制御時の換気量の外気負荷(※2)Ⓑ(Kw)を計算します。 Q:※1 外気負荷とは? A:換気時に生じる屋外の新鮮空気の熱損失 →換気作用により生じる、屋外の熱損失。 (暑い夏や寒い冬に、法定換気量で換気を実施した時の熱損失) |
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Q:※2 熱量算出は? A:PLCにより、室内外の温湿度から熱エンタルピーを求め、換気量から熱損失エネルギーを算出します。 以下の様に、ガス消費量を算出します。 |
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全台稼働時の外気負荷Ⓐにかかるエアコンのガス消費量(㎥N)と 制御換気時の外気負荷Ⓑにかかるエアコンのガス消費量Ⓓ(㎥N)を計算し 削減できたガス額Ⓔを算出(※3) 同様に、削減できたCO2排出量Ⓕを算出(※4) 制御換気を行うことで 外気負荷を削減し、エアコンのエネルギー消費量とCO2排出量を削減できます。 Q:※3削減できたガス額の算出は? A:都市ガスによる業務用エアコンの場合、例として1㎥N=95円として計算 Q:※4削減できたCO2排出量の算定は?して、 A:都市ガス消費量×発熱量×CO2排出係数=CO2排出量 |
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Q:外気空調効果とは A:屋外が快適な温度・湿度の時、その外気を取り入れた時の効果 Q:外気空調が可能な条件は? A:気候の良い時期(3~5、10月:外気温19~23℃、6~9月:外気温24~28℃)相対湿度35%~65%RHの時 Q:稼動方法は? A:全換気扇を稼働させ、積極的に空気を入れ替えます ➡ELシステムとエアコンを連携させ、エアコンを停止します。 Q:メリットは? A:外気空調・外気冷房(一般摘には、外気冷房と呼ばれていますが、湿度情報も加味すれば、適温・適湿が得られます)を使用することにより、エネルギー消費量の削減になります。 ※寒冷地帯では、外気空調効果が余り発揮されない場合もあります。 屋外が快適な温度・湿度の時は外気を取り入れ、エアコンのエネルギー消費量を削減できます。 |
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まとめ | |
2020年5月のデータを集計したところ、換気制御の効果が一目でわかる結果が出ました。 2019年8月~2020年4月まで、換気制御による削減効果額が上がっていますが、 2020年5月は、削減効果が見られません。 なぜでしょうか? 正解は…「ELシステムの換気制御を行わなかったから」です。 新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、店舗営業時間中、換気扇を最大量動かし続けたのです。 (緊急事態宣言発令中でしたが、店舗は営業を続けていました。) ELシステムは自動で換気制御を行いますが、手動でも換気扇ごとに運転・停止を選択できます。 また、運転時間等も設定できます。 店舗に設置されているタッチパネルで操作できますが、VPNを構築することで、遠隔操作も可能です。 |
<ELシステムの特長> | |
タッチパネルで現状(稼働状況、リアルタイムの情報(温度、湿度、削減量など))が見える、簡単操作 | |
データはPLC本体のSDカードにCSVデータとして収集。LAN(VPN)を構築すれば、遠隔でのモニタリングや情報収集も可能です。 | |
毎営業日にモニタリングを行い、月ごとに月間稼動報告書を作成します。 | |
毎朝稼動時に、室内の雑ガス濃度を計測し、雑ガスの当日の設定値としています。ローテーション起動を採用し、均等に稼働させ、単体機器の連続運転を抑制します。(まんべんなく稼動させることで、特定の1台に負担をかけることがありません。) | |
人の操作に頼らず、(大型店舗などにおいて、人が常に換気をコントロールするのは困難)快適な室内環境を保ち、同時に外気負荷を抑制させる制御システムが、ELシステムです。 | |
<ELシステムの前提> | |
換気設備能力が、適切な換気量を維持していること | |
一定の換気量を保つために、給気フィルターが、定期的に清掃又は交換されていること | |
【ご参考までに】換気方法としては、第一種換気が最適です。 |
設備図案(竣工図)・機器リスト等により、法律で定められた換気量が適切か診断します。 室内のCO2や雑ガス値の計測をご希望の場合は、機器の貸し出しを行います。 (無料:1~2日データ収集) |
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換気における診断結果(改善が必要であれば改善案)、ELシステム導入プラン、制御シミュレーション、お見積りお見積書を提出します。 お客様のご要望に応じたシステムをご提案いたします。 |
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(有料) | |
ご希望があれば有料になりますが、計画通り施工されているか、換気量は適切か、現地調査を行います。 | |
ELシステム導入における計装工事は、お客様の指定工事業者で行う事も可能です。 | |
(オプション) | |
VPN通信を用いて、毎日のモニタリング・保守を行います。 |
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